いやぁ、久しぶりに観てめちゃくちゃ面白かった
素朴に、この頃の日本人っていろんな顔があったんだなぁって思った
それにこの時代の役者さんってすごい存在感を感じる
今日は田中邦衛さんの訃報を聞いて、この映画をすぐに思い出した
人によって違うかもしれない
実はこの映画、一昨年にオスロで合気道仲間のノルウェー人と一緒に観たのが最後だった
彼も良かったって言ってたな
なにが良かったのか訊いときゃよかった
なぁビヨーン
印象的なシーンいっぱいあるけど例えば、
オヤジ(金子信雄)と槙原(田中邦衛)が菅原文太に「坂井を殺してくれ」って頼む時、
菅原文太が「昔、警察にタレ込んだの、お前らか?」ってカマかけるシーンあるけど、
その時に葉巻吸って社長椅子に腰掛ける金子信雄と、田中邦衛が机に腕乗せて、二人で菅原文太を睨んで牽制する
ここ上手いなぁ、、って思った
構図もすごいね
というかこの構図みせるために、このシーン作ったのかな
あとこの映画、セリフもいい
たくさんある
「男が世に立つ以上は人の風下に立ったらいけん」とか、サラッと言って名言だしね
結局これはヤクザの話というより、もしかしたら日本の会社組織の縮図だから面白いんじゃないかなぁ
こういうことみんな経験してる
菅原文太はどんなことされてもオヤジの金子信雄には逆らえない
オヤジは風見鶏で人との約束は反故にするし、旨い汁だけはすすろうとする
いつも目下の菅原文太に責任を押しつけるイヤな上司
観てる人たちは、
たしかにこんなひと、組織にいるなぁって、、笑
それにこの頃日本社会はまだまだ終身雇用の時代だったから組織の同調圧力も今より強かったはず
昔の方がガス抜きできない
組織内での人間関係のストレスは蓄積してたのかもしれない
でも今の会社というのは、昔ほど密室じゃないからすぐ漏れる
だからこの頃に自分が生きてたら、今の時代よりもっと主人公に感情移入できた気がするね
『ショーシャンクの空に』も、この映画のカタルシスを違った方法で満たしてくれる映画だった
耐えて耐えて、最後にドカンとひっくり返す
こういう筋書き、日本人は好きなのかもしれない
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なんだか、夏目漱石の『坊ちゃん』読んでた時もこんな感覚があったね
坊ちゃんが菅原文太なら、校長の狸が金子信雄で、教頭の赤シャツは田中邦衛、山嵐が松方弘樹か(笑)
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名作ってベースになにか社会の縮図だったり、人が共感できるメタメッセージが流れてるから
多くの人が観ても面白いんだと思う
この映画、作り手の情熱が伝わってくる
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これもなんとなく思ったけど
日本人の感じる男らしさって耐えることなんだろうね
たしかにこういう寡黙で耐えてる男、好きだね
C.W.ニコルさんなんておれ大好きだしね
とにかく『仁義なき戦い』
ほんとに良かった
田中邦衛さんに合掌。