映画『影武者』(1980)の撮影で、役者の勝新太郎が黒澤明監督と衝突して
勝さんが主役を降板したという話があります
様々な人が色々な理由を挙げられてるんですが
勝さんは「耳」の世界の人で、
黒澤さんは「眼」の世界の人だった
それが最も大きな要因のひとつではないかと私は想像しています
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黒澤さんはもともと画家出身で26歳の時に映画監督に転向された
あらかじめ自分の中に脚本のイメージが明確にあり
映画のパラグラフもあって、全体の構成がしっかりしています
現実を自分のイメージに近づけていく人
世界を『かたち』で捉えている
「眼」は分析的で構造で世界を捉えます
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勝さんは長唄三味線をしている父親の家に生まれて23歳まで、音の世界にいました
その後、役者に転向しました
だから世界を『ながれ』で捉えている
予定調和を嫌うし、台本通りにやらない
流れに身をまかせる
「耳」は情動的で感覚的に世界を捉えます
勝さんは、まさに「耳」の人だったのではないかと感じています
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俳優の石橋蓮司さんが、勝新太郎さんの撮影の現場に行った時のエピソードを話されています
勝さん、面白いですね
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